豊穣神話; 太古の豊穣神話から天の岩屋戸まで
■はじめに
 人類を襲う苦難について、旧新約聖書では、「剣と飢饉と疫病と天災」の四つがあげられていて、これらが「死」と「罪」に関連づけられています(列王記上8章37節「飢饉と疫病と天災」/歴代誌下20章9節「剣と疫病と飢饉」/エレミヤ14章12節その他多数「剣と飢饉と疫病」/エゼキエル6章11節「剣と飢饉と疫病」/ルカ21章11節「天災と飢饉と疫病」/ヨハネ黙示録6章8節「死と剣と飢饉」)。自然がもたらす「天災」と、人間同士の「戦争」と、そして「飢饉」と「疫病」、聖書では、これら四つと人の「罪」、これら五つが「死」と結びついていることに注意してください。「飢饉」に対しては「豊穣」が、「剣」に対しては「平和」が、「疫病」に対しては「健(すこ)やか」が、「罪」に対しては「公正と正義」が、それぞれ対応します。
 聖書にあげられているこれらの苦難は、人類の歴史の太古から伝わるものです。中でも天災と天惠、飢饉と豊穣は、人類に共通する神話として、世界中で語り継がれてきました。以下で、人類の代表的な神話である「天災と豊穣」に関わる神話を紹介します。豊穣神話は、人類にとって重要な意味を持ちますが、それだけに、これが意味することは複雑です。だから、一般論を避けて、具体的な文書によってこの神話を見ていくことにします。
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