大事なのは、「自由」が、まことの平和を実現する共同体をつくる「一人ひとりの個性」を育てることです。独裁権力に反抗する「自由」でも、それが人の思惑(おもわく)によって理論化され、観念的なイデオロギーに化して絶対視されると、体制に敵対する「自由」の「正義論」が、過激な「知の暴力」となります。そうなると、内部分裂したり、破壊的な暴力に変じる危険が生じます。例えば、現在、反トランプを唱えるアメリカ人たちが、白人への反体制的なイデオロギーに走ると、分裂を引き起こしてアメリカ社会を崩壊させる危険があります。人文学にせよ、自然学にせよ、「知よ、おごるなかれ!」です。
■人の知恵
たとえ「正義」と言えども、
「人間の知恵」や「人の思惑」から生じる「正義感」は、これを絶対化すると危険です。ウクライナでは僅差で親欧米のゼレンスキーが選挙に勝ち、ベラルーシでは僅差で親ロシアのルカシェンコが選ばれた。
同じデモクラシーでも、結果は正反対です。私がこのように言うのは、同じロシアの隣国である今の日本が、アメリカの尻馬に乗っかって、プーチンを侮辱したり、ロシアを敵視するのは危険だからです。ウクライナで失敗したら、プーチンの恨みは、今度は極東へ向けられ、日本の北方領土へ侵攻するかもしれません。その上、日本が、中国への敵対行為を重ねるなら、危険はさらに増大します。人は、「正義」を唱えても、「謙虚」さを失うと大きな誤りを犯す危険があります。
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人知を超える神の知恵
イザヤやエレミヤは、南ユダ王国の王たちに向けて、武力を誇る大国に敵対するのは危険だと警告しました。イエス様の時代のユダヤのゼロータイ(熱心党)は、ローマの権力に反抗して過激化し、ユダヤ戦争を引き起こし、ユダヤの滅亡を招きました。その結果、1948年に今のイスラエルが誕生するまで、二千年近くも、ユダヤ人は国を持たない悲哀を味わったのです。日本も、今の政情でロシアや中国を敵に回すのは危険です。今日本は、独裁権力をただ敵視するだけでなく、国同士の平和のために、相手の国の民主化を図り、その国の民にも安全な生活を与える政策を実施することです。
大事なのは、
イエス様の十字架の赦しの絶大なお力です。御霊にある「個性の自由な発揮」こそ、民主主義の基本です。イエス様は、パレスチナのガリラヤの村々町々で、「悪霊を追い出し病気を癒やして」、一人ひとりに「ほんとうの自由」を実体験させて、大自然を創られた神の御業を証(あか)しされました。これが「真(まこと)の民主主義」です。日本の平和を守り、親子兄弟姉妹の家庭を作り、家庭内の個性を育てる。イエス様のこういう御霊のお働きが、今、アジアで最も必要です。
【補遺】三反四親
五分間説教集