宗教的寛容と人道的自然主義
               信友たちとの談話会で(2023年4月5日)
 仏教系、キリスト教系、儒教系、イスラム教系、ヒンズー教系、ユダヤ教系、さらに、それぞれの地元の民俗宗教(神道系はこれに属する)、これら七宗教が、現在のアジアで共生しています。異なる宗教同士のこういう共生を支える根本原理は、過去の争いや欲望にとらわれたいわゆる「歴史主義」ではなく、宗教的な寛容に根ざす人道的自然主義(humanitarian naturalism)から発生するものです。人間の有り様をそのまま受け容れることは、天地創造の神による恩寵によりますから、これもまた、神のお働きです。このアジアは、そういう恩寵の働く場です。
 アジアでも、諸宗教は、相対立しようとする「相対性」を有しています。しかし、その相互対立を解消する働きこそ、イエス様の十字架の罪の赦しから発する絶対恩寵のお働きです。その絶大な御力は、七宗教を共生させる人道的自然主義の源であるばかりでなく、相対するもの同士を共生させる正(まさ)にそのお働きにあって、共生の今後を照らす光でもあります。この意味で、神導的自然主義(God-initiated naturalism )の光だと言えましょう。これが、福音に具わる「宗教的寛容」(religious toleration)です(第一コリント13章1〜13節)。愛は誇らず、礼を失せず、すべてを忍び、すべてにおいて信じる(第一コリント13章4〜7節)。これを悟るのは、御霊にある私たちの「謙虚な霊智」です。ナザレのイエス様の私たちへの御臨在こそ、最大の恩寵です。ただ、ただ、このイエス様の赦しの御霊のパワーが働くこと、それだけです。

「すべてのものこれ(神のみ言)によって成った 
成ったもので、これなしに成ったものはない。
そのうちに命があった。
命は人の光であった。
光は闇の中に輝いている。
闇はこれに勝てなかった。」
 (ヨハネ1章3〜5節) 
           五分間説教集