民主主義とリバイバル
(2023年1月6日)
▼コンテキスト化
民主主義とリバイバル運動とのつながりから見ると、キリスト教を「福音する」(エウアンゲリゾマイ)ことが、まことの民主化への道です。カリフォルニアのロサンゼルスにあるフラー神学校の言い方に従うなら、キリスト教による福音化によって、民主化を成就することをキリスト教の「コンテキスト化」(contextualism)と言います。キリスト教を宣教して、その地に根付かせることを、福音を「contextualizeする」(コンテキスト化する)と言うからです。こういう民主化のやり方は、福音をその地域に「文化的に組み込む」(contextualize)働きをします。「エウアンゲリオン」(福音のギリシア語原語)を「エウアンゲリゾマイ」(福音する)ことによって、キリスト教をそれぞれの国とそれぞれの民の固有の宗教的・文化的なコンテキスト(内容)に沿って「福音化する」ことを意味します。
現在、加古川で梅谷牧師(フラー出身)が実践しているのがこれで、梅谷牧師の教会は、一つのコミュニティを形成する規模に拡大しています。キリスト教の日本への「文化的な組み込み」には、イスラエルで唱えられ始めた「日ユ同祖論」も一役交(か)っています〔横山隆『日本・ユダヤ双子論』マルコーシュ・パブリケーション(2010年)/アビグドール・シャハン『失われた十部族の足跡』小久保乾門(そろもん)訳。NPO法人神戸平和研究所(2014年)〕。
▼民主化
戦後の日本にもたらされたこのような福音の「文化的な組み込み」と、キリスト教による民主化は、筆者自身も知り、かつ体験したことですが、もとを正せば、アメリカでのリバイバイル運動へさかのぼるものです(このことは日本であまり知られていませんが)。ブレイナード*のインディアン伝道、フィニー*の女工への伝道、ムーディー*の大衆伝道などがその先駆けです。
この運動は、異言を伴う聖霊降臨の激烈な波となって、1906年に、ロス・アンゼルスのアズサ・ストリートで、異言を語るひとりの黒人の伝道師セイモア・スミスから始まります。そこでは、貧しい黒人たちが、聖霊の働きに動かされて、「新しいエルサレム」のヴィジョンを啓示され、さらに、これに、学歴のない無教養で、失業中の白人たちも加わることで、使徒言行録10章のペンテコステさながらに踊り歌い、白人と黒人とが、共に抱き合う集会が行なわれました。*
これに端を発したリバイバルは、以後も、オーラル・ロバート*(インディアンの血を引く)の幕屋での神癒伝道、T・L・オズボーン*のアジアを含む様々な国での大衆への野外神癒伝道となり、最近では、ベニー・ヒン*の国際的なリバイバル運動などが、福音的なカリスマに与ることで、民の「民主化」をもたらしています。「神は善い神」(God is good God.)であることを説くそのリバイバル運動は、イエス様は、どの国のどの民にも、その国の文化的コンテクストに応じて「善い神」として働いてくださることを広く伝えるからです。
〔参照文献〕
*David Brainerd. オズワルド・J・スミス『ブレイナードの日記』いのちのことば社(昭和34年)。
*Charles G/ Finny.1792年生まれ。Short Life of Charles G. Finny.などの Revival Series. No(1)--(7)がRevival Publishing Company: Belfast: Northern Ireand(1948--49)からでている。
*Dwight L. Moody.
The Second Coming of Christ. Moody Press; Chicago. この著書は、ムーディー、ジョージ・ミュラー、スパージョンなどの著名な説教で編集されている。
*Harvey Cox. Fire from Heaven.
Addison-Wesley Publishing Company(1995). 23--24.45--47.
*Oral Robert.
The 4th man. And Other Famous Sermons. Tulsa Oklahoma Healing Waters.(1951). Oral Robert の 幕屋伝道の実際は、彼の編集によるAmerica's Healing Magazine. (1955頃)やAbundant Life.(1956--57頃)に詳しく報告されている。なお、現在、Oklahoma にはOral Robert Universityがある。
*T. L. Osborn.
Healing The Sick and Casting Out Devils. Tulsa; Oklahoma: Evangelist T. L. Osborn (1955). なお、彼は、京都北白川教会のフィンランド宣教師たちの招きを受けて来日し、名古屋、京都、松山などで野外神癒伝道集会を行なった。
* Benny Hinn.
Welcome Holy Spirit. Thomas Nelson Publishers (1955). ベニー・ヒン『聖霊様、歓迎します!』(その他の彼の著書)マルコーシュ翻訳委員会訳。マルコーシュ・パブリケーション(1955年)。彼も来日して、神戸で神癒を伴う伝道集会を行なった。
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