自由と使命
  コイノニア会京都集会(2021年2月27日)
 
■新しいキリストの民
 今日は、ルカ3章からです。ここで、洗礼者ヨハネは、彼の所へ来た人たち一人一人に、それぞれ異なる仕方で、今何をすべきかを具体的に教えています。人それぞれが、自分の置かれた状況の中で、成すべき使命を神から与えられているからです。しかし、それは、自分でやろうとしても、自力でできることではありません。新しく注がれる「聖霊の熱い想いに」導かれて初めて、できることだからです。では、そのような聖霊のお働きは、どこから来るのでしょうか? 「あなたは私の愛する子」と言われた三位一体の御子イエス・キリストからです。新しいキリストの民が、こうして生まれようとしているのです。
■近代の個人の自由
 いわゆる「近代社会」は、16〜17世紀の宗教改革の中で、オランダとイングランドにおいて、「個人の発見」として始まりました。先ずオランダで、資本主義的な「個人の自由」が唱えられて、それが、イングランドでは、議会制民主主義を形成する「個人の自由」となり、近代のキリスト教社会を造り出しました。資本主義でも、民主主義でも、個人の自由は、人と人との間に「愛と信頼」が働かなければ、「正しい自由」にはなりません。このために、「個人」は、三位一体の神の交わり(communion)に働く「愛と信頼の自由」に与らなければなりません(ヨハネ13章34〜35節/ガラテヤ5章6節)。
 ところが、21世紀の現在、「個人」は健在でも、個人相互の「自由」は、イエス様を通じて働く「愛と信頼」を失ってしまったのです。このために、「個人の自由」は、きわめて大きな危険(リスク)を伴うものに変じました。私たちは現在、こういう「自由の迷路」の中をさ迷っています。キリスト教国の人々は言います。「個人の自由」は正しい。なぜならそれは神から出ていると。そのとおりです。しかし、個人の自由は、三位一体の神に与ることから生まれる「愛と信頼」がなければ、「正しい自由」にはなりません(ヨハネ8章32節)。
■コイノニア会の個人
 コイノニア会の人には、誰でも個人の自由が保証されています。しかし、その自由は、前回のコロサイ人への手紙から読み取ったように、「主イエスにどこまでも付き従う」ことで初めて、その個人が具体的に実を結ぶ自由ですから、それは、「神による」御業です。21世紀の現在、従来の資本主義と民主主義の社会が、世界規模で混迷を深めています。この時にあたり、神は、この日本で、新しい社会と国家を作り出すための御業を始めておられるのです。それは、あらゆる分野で、<まことの文化を創り出す個性>を具えたキリストの民を育てることです。日本人のクリスチャンの善いところは、宗教的に寛容なこと、その信仰が合理的なことです。反対に、悪いところは、用心深すぎて、個人の発信能力が低いことです。
■牧田さんの著作
 この本は、今回牧田さんが、国の助成金を得て出版した『キモノ図案からプリントデザインへ』です。これは、戦後の日本で、アメリカのGHQの支援のもとで、日本の繊維産業とプリントデザインが、どのように発展したかを克明にたどったもので、従来誰も手をつけなかった分野を切り開いた著作として、高く評価されています。
 本日の司会は牧田さんですが、この著作ができるまで、どのように不思議な主のお導きがあったか、それは牧田さん自身が誰よりもよく知っています。御存知の通り、牧田さんは、長年ひたすら主に「付き従って」来ました。自己の仕事をイエス様に信託する。この信仰を貫いてきた人です。その結果が、この著作となって実現したのです。このように、現在の日本のあらゆる分野で、それぞれの仕事において、実を結ぶ御業を産み出す個性を具えた「キリストの民」を育てること、これが、コイノニア会ほんらいの使命です。
■個人の自由と使命
 コイノニア会の一人一人には、「個人の自由」が保証されています。このことは、それぞれが、独自の分野で、主イエス・キリストから使命が与えられていることを意味します。
(1)主のみ名を呼び求める者は、誰でも必ず救われます(ローマ10章9節/13〜15節)。
(2)信じた者には、 主からその個人に使命が与えられます。
(3)その使命を全うするための生活が与えられます(マタイ6章31〜33節)、
(4)その家族が護られます(使徒16章31節)。
(5)日本人一人一人が、このように主に導かれるなら、この国は必ず護られます。
 「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも、あなたの家族も、あなたの国も救われる」のです。どうか、あなた自身の使命を全うするために、全身全霊を傾けて、主イエス・キリストの導きに信託してください。ついでに言えば、このようなコイノニア会は、教団や会堂つきの教会を建てるための交わりではありませんから、既成のキリスト教の諸教派・諸教団と完全に調和する交わりです。安心して、信じてください。
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