昨今のアジアで
           東京集会の講話の1部分 (2021年9月11日)
 これからお話しすることは、前回の京都集会(2021年8月28日)で語ったことです。年寄りの長話はお聞き苦しいでしょうから、手短にしますので、あとは皆さん、それぞれでお考えください。
 現在、アフガニスタンで、タリバンが勢力を回復して、アメリカの軍隊とアメリカに協力したアフガニスタンの人たちとは、カブール空港から脱出しました。飛び立つ飛行機に何とか乗せてもらおうと、アフガニスタンの人たちが必至に飛行機にしがみつく姿がテレビに映っていました。これとまったく同じことが、アメリカがヴェトナム戦争で敗北した時に、かつてのサイゴン(現在のホー・チミン市)で起こりました。ただし、あの時は、アメリカの相手が、マルクス系の左翼勢力でしたが、今回は、イスラムの勢力です。
 400年間にわたって、世界をリードしてきた米英のキリスト教的資本主義が、アジアにおいて二度目の敗北を喫したことになります。しかも、400年以上もキリスト教が敵視してきたユダヤ的な思想(マルクス主義のこと)と、イスラムの過激な思想の人たちによってです。ただし、現在の米英は、ユダヤ人とはイスラエルで協力関係にあります。 
 私が何よりも気にしているのは、今、アフガニスタンにいるキリスト教徒は、いったいどうしているのか?ということです。テレビもマスコミも、一切報道しません。これは、アフガンのキリスト教徒自体も、口を閉ざして言わないからでもありましょう。同じように、ヴェトナムのキリスト教徒たちも、サイゴン陥落以後に、どうしているのか?これも全く聞こえてきません。おそらく、口を閉ざしているからです。現在、仏教国のミャンマーでも、軍部の弾圧に対抗して、若い市民が大勢抵抗していますが、ミャンマーのキリスト教徒たちがどうなっているのか全く分かりません。香港は、およそ750万と言われる人口の中に、非常に多くのキリスト教徒がいます。しかし、マスコミは、若い香港人の抵抗運動ばかり派手に伝えますが、キリスト教徒を含む思想的・宗教的な背景についてはほとんど報じません(「朝日新聞」に一度香港のキリスト教会のことが報じられました)。台湾の人たちは、今度のアフガニスタンのことで、非常にショックを受けています。しかし、台湾のキリスト教徒たちが本音で何を考えているのかを知らせてくれる人はいません。韓国でも、大統領の言動や韓国人の反応などは、テレビでも詳しく論じられていますが、韓国のキリスト教徒が、どういう状態にあるのか?その本当の現状を知らせてくれる人はいません。現在の日本のキリスト教徒が、腹の中で何を考えているのか、これを知っている外国人は、お隣の韓国人やアメリカ人を含めて、国外にほとんどいません。最後に中国のキリスト教徒たちのこと。これについてもあまりよくわかりません。
 今、総選挙に向けて、自民党の総裁選などが、毎日報道されていますが、若い日本のクリスチャンたちは、いったい何を考えているのか誰も言いません。年寄りの私が街を歩くと、出会う半分は息子と娘世代、あとの半分は、孫とひ孫の世代ですから、これから、日本の若いクリスチャンたちはどうなるのだろうと、少し案じられます。アジアのキリスト教徒たちについてはこれで終わります。
●補遺
 2021年8月に、アメリカは、米英豪の三カ国で軍事同盟を結ぼうとしていることが報道されています。このことは、アメリカが、今後、万が一に備えて、中国と対立する太平洋の防御線を、フィリピン以東のラインへ後退させることを予想していることを示唆しています。おそらく、これが、現在の中国が、アメリカに提示している米中での太平洋二分割案に沿うからでしょう。この場合、台湾と韓国と日本は、中国の支配下に置かれる危険性が生じます。米中の狭間にある東アジアのこれら三国が、民主的な国家を保持するためには、互いに協力し一致しなければなりません。この三カ国が一致して、米中の間で起こる紛争を避けて、極東アジアの平和を守らなければなりません。これを達成するためにとりわけ重要なことは、 キリスト教徒の働きです。
(1)特に、日本のキリスト教徒の民を拡大させることが急務です。
(2)日韓台湾のキリスト教徒が、一致して、極東アジアにキリスト教圏を形成して、米中に働きかけることです。
(3)日韓台湾のキリスト教徒が、中国(と香港)のキリスト教徒とも連携する必要があります。

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