あとがき
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 本書は、七章の「キリスト教から見える日本の使命」が与えられたことが、執筆の直接の動機になっています。この章とほぼ同じ内容のものが、『船の右側』(二〇二二年一〇月号)に掲載されることが決まったときから、このような「お示し」に与(あずか)るまでには、これにいたる幾つかの重要な段階があること、それらの段階をも併せることで初めて、この章の真意がいっそう明らかにされると考えたからです。この意図に基づいて、本書は、全部で七つの章から構成されていて、「日本の使命」は、その最終章に来ています。六章が異常に長いのは、そこで扱われる問題が、現在も日韓関係への重大な障害になっているからです。 なお、あまりにも小さな冊子で、あまりにも大きなテーマが扱われていると思われる方は、ホームページ「コイノニア」(奥付を参照)の「聖書と講話」欄で、筆者の思想と信仰の詳細をお読みください。
 お読みくだされば分かるとおり、本書の内容は、注に挙げた諸書を始め、筆者も加わるコイノニア会とそのホーム・ページで、語ったり書いたりしたもの、あるいは、京都大学の信仰の友人たちと長年続けてきた研究会で、発表したり語り合ったことがもとになっています。それだけでなく、「民の民主化」を扱うために、筆者は、京大法学部の名誉教授で信仰の友人でもある諸氏が著(あら)わした文書を参照し引用するご厚意を得ました。本書の一章は佐藤幸治氏に、二章は奥田昌道氏に、五章は初宿(しやけ)正典氏に、それぞれご教示をお願いしました。四章は、ミルトン学界でお世話になった故永岡薫氏の著作と翻訳によるところが多いです。しかしながら、本書の内容それ自体は、これに含まれるであろう誤りをも含めて、それらは、ひとえに筆者一人の責任であることをここでご確認ください。
 ご教示に与(あずか)った諸氏と、コイノニア会のメンバーの方々と、研究会のメンバーである水垣渉氏、市川喜一氏、久野晉良氏、田邊明子氏に、改めて篤(あつ)く御礼申し上げます。なお、地引網(じびきあみ)社の編集長谷口和一郎氏は、先に、「キリスト教から見える日本の使命」を『船の右側』に掲載することを快くお引き受けいただき、今また、本書の出版を引き受けてくださいました。改めて氏に御礼申し上げます。
 これらの諸氏を通じて与えられた主様の深い御恵みを想うとき、今はただ、本書を通じて、筆者共々に主様の恩恵に与(あずか)る方が、一人でも多く現われることを念願するのみです。
 二〇二二年一〇月二〇日 京都の嵯峨野にて、私市元宏
              日本の使命へ