(1)ローマ信条
  ローマ信条(2世紀半ば?)は、英語で「古ローマ信条」(Old Roman Creed)と言われる。ローマのキリスト教会で、「洗礼告白」(Baptismal Confession)として用いられていたものらしく、これの原型は2世紀頃にさかのぼるかもしれない。「使徒信条」は、このローマ信条を拡大したものであろう。ローマ信条は、3世紀初頭頃のローマ教会の長老であったヒッポリトス(170?~235/6年)の「使徒伝承」に初めて(?)見いだされ、その後、アンキュラ(現在のトルコで、ローマ帝国当時のガラテヤ州の中心都市)の司教マルケロスが、ローマの司教ユリウスに宛てた書簡(340年?)にも見いだされる。マルケロスは、336年に、コンスタンティノポリス教会会議で追放されたが、340年のローマ教会会議には、ローマ司教ユリウスによって招聘された。「(古)ローマ信条」は、この二人、マルケロス=ユリウス版である。これは、その時、マルケロスが告白したもので、おそらく、ユリウスによる編集であろう。マルケロスは、ユリウスからの要請に基づいて、この信条を告白することでローマ教会会議への出席を認められた。〔小高毅編訳『原典古代キリスト教思想史』(3)183~84頁を参照〕
【ローマ信条】
私は信じます。すべてを支配される神(パントクラトール)を、
また、その独り子なる御子、私たちの主、キリスト・イエス、
聖霊と処女マリアから生まれた方、
ボンティオス・ピラトのもとで十字架につけられ、葬られ、
三日目に、死者の中から復活され、
天に昇られ、父の右の座に就かれた方を。
そこから、〔この方は〕生ける者と死せる者とを裁くために来られます。
また、聖霊、聖なる教会、罪の赦し、肉体の復活、永遠の生命を。
(アンキュラのマルケロスから『ユリウス教皇への手紙』原文ギリシア語)
(小高毅訳)

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