(2)使徒信条
  使徒信条(Apostles' Creed)(4世紀)は、「ローマ信条」を受け継いでいる。「使徒信条」という言葉自体は、当時のイタリア半島で、主な都でもあったミラノでの教会会議で(390年頃)、ローマの司教が用いている。4世紀には、西方教会で、この信条が、ミサ典礼として用いられていた。ただし、ギリシアの東方正教会では、全く知られていなかった。使徒信条は、6世紀頃に、スペインやガリアやドイツでこれの変形が表われている。現行のものは、カール大帝(在位800年~814年)の時代に、礼典を統一するために、ローマに導入されたと思われる。「使徒信条」が最初に登場するのは、8世紀前半の著作である。ところが、1438年のフェラーラ・フィレンツェ公会議で、東方教会圏では、使徒信条状が全く伝えられてこなかったことが明らかになった。この会議は、東西の教会の合同を目指す会議であったが、このために、この信条は、東方教会では受け入れられないままになった。
【使徒信条】
 天地の造り主、全能の父である神を私は信じます。
そのひとり子、私たちの主イエス・キリストを、私は信じます。主は聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれ、ボンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死んで葬られ、よみに下り、三日目に死人の中から復活し、天に昇られました。そして、全能の父である神の右に座し、そこから来て、生きている人と死んだ人とをさばかれます。
 聖霊を、私は信じます。また、聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、からだの復活、永遠のいのちを信じます。アーメン。
 〔ルーテル教会信条集専門委員会訳『一致信条集』聖文舎(1982年)〕 〔『原典古代キリスト教思想史』(3)187頁〕
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