64分の1の世界
            2013年コイノニア夏期集会で    石田 晶彦
 
 2013年8月31日のコイノニア夏季集会に至るまでの私の小さな聖霊体験をお話しします。私市先生から、先ほど「この集会のために来られたのですか」と聞かれ、昨年来の知り合いからは、「お仕事でこられたのですか」と当然というふうに聞かれました。常識人の発想としては当然の質問と思います。
 今回、私は米国アリゾナ州から、このコイノニアの夏季集会に参加するためにやってきました。この集会への参加がすべてです。その他の仕事は集会参加の後についてきた付け足しでしかありません。コイノニアの夏季集会日程をホームページで知り、集会への参加を祈り始めたのが7月初めです。今年参加できるようになるためには、いくつもの問題が解決されなければならないことがわかっていました。そして、そのいくつもの問題が人の力ではどうにもならないこと、この10年間でよく教えられてきました。
@旅費をどうするか。
A  飼っている匹の犬の内、1匹が数年前から脳下垂体に腫瘍ができるクッシング症候群を患い、どうにも体調が悪いのです。高齢でもありペットホテルに預けて行くのは、どうにも不憫でならない状況でした。
B 犬をロスアンジェルスで仕事している家内のところに預けていくにしても、家内の仕事の都合がつくか。
C コイノニア夏季集会参加者定員14名が一杯になってはいないだろうか。
D まだ夏休み中、飛行機は混んでいます。フライトの予約はとれるだろうか。
E フライトがオン・タイムで飛んでくれるだろうか。私の個人的な状況、集会定員や飛行機など私以外の状況など少なく見積もっても6つの問題が満たされない限り、私は今回の夏季集会に参加することは出来ませんでした。
 もっとも、参加できることも、できないことも、父なる神様の御心であれば、どちらにしても、「平安」があると、7月からそう祈っていました。不思議なもので、上記の六つの問題が満たされても、アリゾナからカリフォルニアまで6時間、車を運転して、さらにロスアンジェルスからサンフランシスコ経由で関空へ、嵯峨嵐山駅に行くという私の気力がわかなければどうしようもないことです。しかし、その気力さえ、神様が備えてくださることをこの10年の体験を通してよく教えられてきました。
 7月は何の変化もガイドもないまま終わりました。「ああ今年は行けないか」と感じていました。こちらのビジネス・スクールでもファイナンスは主要講義課目です。集会参加のための旅費資金調達問題は私にとって最初にクリアーされなければならない問題でした。
 8月7日、5年近くも前に使ったクレジットカードのポイントがカード会社の合併によって、突然航空会社の無料航空券に移行できることが判明しました。しかし、クレジットされるには、5週間ほど時間がかかるとのこと。8月31日の集会に間に合うように出発できるだろうか。御心であればクリアーされると思い、手続きをして待つことに。しかし、なかなかクレジットされず、これはダメかと諦めモード。
 8月13日午前3時半、病気で体調不良の飼い犬Viviが突然後ろ脚で立てなくなりました。犬自身も何が起こったかわからず前脚でお尻を引きずって動き回っているのです。痛みなのか、体に起こった突然の異変の故か鳴き続けているのですが、私は抱いてさすってあげる以外に何もできません。 そして、午後7時に息を引き取りました。残りの2匹は逝ったViviと同じ兄弟姉妹ですが、まだ大丈夫そうで、6時間の車に耐えることができます。悲しい現実の中、Aの問題が解決されました。
 @の問題は、8月23日金曜日に、遅々としてクレジットされず、諦めモードだった無料航空券が突然与えられ、クリアーされました。しかも、私の予想していたファイナンスという方法でない、想像さえしなかった無料航空券という方法で問題が解決されたのです。しかし、出発のデッドラインまで残された時間は5日という切羽詰った状態であることには変わりありません。何をどうすればよいのか、御霊のガイドを求めつつ、一つ一つをこなして行くだけです。不思議とこういう時に気力が与えられるものです。
 B家内の仕事の都合:8月24日に家内からのメールで、「8月29日からなら何とか大丈夫」ということで2匹の犬を預かってもらうことになりました。しかし、不定期に撮影・ナレーション等の仕事が入る家内の日程でこれは奇跡的なことでした。
 これで、やっと @、A、Bとクリアーされました。でもまだCの海の向こうとDとEの海の上の問題が残っています。
 C集会参加定員に至っているかどうかのメールを8月25日、私市先生に打つのですが、よくあることで、送ったメールはジャンクメールにカテゴリーされたようで、返事がありません。もし、御心であるなら、すべてが整えられずはずとの思いがよぎります。翌日8月26日、私市先生に電話したところ、暢気に「いや不思議なことがあるものです。最後の男性一名空きがあります。これで12名丁度です」とおっしゃる。これで海の向こうの問題Cがクリアーされました。
 Dフライト予約は、8月26日(月曜日)にしたのですが、ロスアンジェルス→サンフランシスコ→関空と一つだけ席が空いていました。
 7月から祈り始めて、事が起こったのは出発の僅か3日です。すべての問題がクリアーされました。しかし、3日で色んな手配をするのは精神も肉体も疲れさせます。今度は、私の日本に向かうという気力がなえてしまうのです。そこで祈るのですね <神様、ここまですべてを整えてくださった神様、あなたの御心が私をして集会に参加させることであることがよくわかります。しかし、神様、今度は私が疲れてしまいました。どうか主よ、私に気力を与えて下さい>と御願いします。
 8月29日早朝、気力を与えられた私はアリゾナからロスアンジェルスに残りの2匹を連れて6時間の道のりを車で向かいました。そして、8月30日早朝、ロスアンジェルスからサンフランシスコに向かうべく飛行機に乗り込みました。しかし、最後のEの海の上での問題が発生しました。サンフランシスコ名物の霧、発生のため、搭乗機がロスアンジェルスを飛び立てないのです。
 50分遅れ、サンフランシスコでの乗り継ぎ時間は70分、私の今までの経験からすると、サンフランシスコで一泊、翌日便で日本向うという結果(9月1日の午後3時15分、関空到着というものですから、夏期集会には参加できないということです)になると観念しながらも、「主よ、ここまで道を備えてくださったあなたにすべてを委ねます。どうかすべてのすべてをガイドしてください」と祈りました。ロスアンジェルスで離陸が50分遅れましたが、ハイ・スピードで飛行して、遅れを40分に短縮。サンフランシスコから関空便に待ち時間なしで乗り込めました。
 関空へは、今までに経験したことのない速さ、予定より1時間も早く到着するという超高速フライトで、予定では夕方5時50分に嵯峨野嵐山駅着であったものが、4時15分に到着することができ、参加者と共に夕食をすることができました。これがすべてのすべてを面倒見てくださった御霊の業です。
 
 ざっと集会参加が可能となるまでの大まかな事象だけで確率を計算してみました。
1/2 x 1/2 x 1/2 x 1/2 x 1/2 x 1/2 = 1/64 。64分の1の確率で私は今コイノニア夏季集会のこの席にいるのです。
 世の中には、大きな教会を立ち上げた、大きな慈善事業をやり遂げた、大きなビジネスを成功させたなど立派な証しが沢山あるでしょう。私の証しは、小さな、小さな出来事の証しです。しかし、これはまぎれもなく御霊の業の証しです。御霊の業に大きいも小さいもありません。このコイノニア夏季集会に参加するまでの私の体験は、まさに私の聖霊体験です。
【メール】
2013年9月13日
 石田さんへ
 貴重な証しを有難うございました。こういう証しは、語ろうとしても語れない与えられた実体験ですから、まさしくテストに耐えた testimony です。しかも、このように主様に委ねきることで実現する証しが、どれほどの涙の祈りと苦悩の中で与えられたのかを知る人は少ないのです。あなたの場合に限らず、Nさんでも、Mさんでも、コイノニア会のメンバー一人一人が、それぞれに与え られた状況の中で、実にクリエイティブな発想で自分に示された道を歩もうとしているのを知って、嬉しく励まされ、慰められます。逆境を順境に転じる御霊のお働きに驚きと感謝を覚えます。
私市元宏
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