注釈】
 この詩は、イスラエルの民が、出エジプトから荒れ野を通り、約束の地にたどり着くまでの「主の導き」をイメージしているという見方がある〔フランシスコ会訳(注)1〕。
[1]
【牧者】
78篇52節/79篇13節/イザヤ書40章11節/エゼキエル書34章11~16節参照。
【乏しいことがない】申命記2章7節/34篇10節/ネヘミヤ9章21節参照。
[2]【緑の牧場】イスラエルの民が到着した「約束の地」を反映している。
【いこいのみぎわ】
イスラエルの民が出エジプトの途中でモーセによって水が与えられたことを反映するのか(出エジプト記15章25節)。132篇14節/列王記上8章56~57節/イザヤ書28章12節。
[3]【魂】「生命」とも訳すことができる。生きる力の源のこと。
【正しい路】ほんらいは、目的地に着くことのできる道のことで、誤った道でないこと。17篇5節/31篇4~6節/109篇21~22節/箴言4章11節参照。
[4]【死の影の谷】原語の読みをわずかに変えて「真暗な谷」と読むこともできる。これがほんらいの意味であろう。七十人訳ではここが「死の影のまっただ中を(歩む)」と訳してある。出エジプトの際にエジプトを襲った闇とその初子の死を想わせる〔フランシスコ会訳〕。
【棒】野獣を追い払うための棍棒。「杖」は自分の体を支えたり羊を導くためのもの。牧者の杖/棒は、一本でふたとおりに用いる。
[5]【敵の見ている前で】庇護を求めてきた者を敵から守ってやるのは古代オリエントの慣習であった。
【油】食事の前に客の額に油を塗ったり、香科を注ぐのは歓迎のしるし。 これを「香油」と訳して、そこに「油注がれた者」としての「メシア」の到来を予期させているという見方がある〔フランシスコ会訳〕。
【杯】主人が客人にどんな酒を注ぐかはそのもてなしを決定する。16篇5節参照。
[6]恵み】原語は「善い事」。
【住む】「帰る」という読み方もある。
【いついつまで】原文は「日々の長きにわたって」。27篇4節参照。
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