【来信】
私市先生お元気でしょうか?ご無沙汰しています。連休の休みの日に、一人暮しのおばあさんを訪問したのですが、疑問に思った事がありましたので質問します。
この方はとても信仰深く、話しをするといつも私は恵まれます。広い家に一人で暮らしており、息子と娘は、あまり訪ねてきている様子はありません。財産はすべて教会に捧げるそうです。施設に献金するのも、額が多いので、献金された方はビックリして電話がくるそうです。本人の話すのには「神様が、いつも一緒なので、全然さびしくない。いつも喜んで恵みがいっぱいで、神様に感謝しかない。苦しみも神様がとってくれて、悩みがない。神様にお願いした事は、100%成就する。」と言っています。
こういう言葉を聞くと、私の考えなどは、まさに幼子の信仰だな・・・・と思います。頭がさがります。教会では、「あの人は精神的におかしい」と言う人が多いです。本人は、そういう事は(うわさ)にすぎないから、信仰で通り越したと言っています。
私が、先生にお聞きしたいのは、おばあさんにいじわるする人が居るそうですが、そのことで、それは人格を持ったサタンだと言うのです。信仰的に自分にいじわるをする人を、このような見方をして良いものでしょうか? こういう見方で、人を見て良いのでしょうか? 自分にたいしていじわるをしたり差別する人を、サタンがさせていると見ても良いのでしょうか? 疑問に思ったので書きました。また集会に参加したいです。非常に恵まれましたので。
【返信】
まず人が、サタンの存在を信じていないに場合にどういうことが起こるかを考えてみたいと思います。もしも、サタンというものが、この世にいないとすれば、悪を行ったり、特に自分に対して危害を加えたりする人に対して、危害を加えられた人は、必ず悪を行なう相手の人それ自身が、悪い人間であると思うようになるでしょう。なぜなら、それ以外に相手が悪を行なう理由が考えられないからです。相手が悪魔に見えると、「鬼のような」人だと思うことでしょう。
しかし、サタンの存在を信じているならば、その人は、たとえ他人が自分に対して危害を加えたり、悪を行なったりするのを見ても、このために直ちにその人自身が悪い人間だ、その人が悪魔の様な人だとは思わないのではないでしょうか。サタンの存在を信じていれば、実はその相手の人の背後に、サタンが働いていて、その人間を通じて害悪を行わせている、というふうに理解するのではないでしょうか。「罪を憎んで、人を憎まず」という言葉がありますが、サタンの存在を信じる場合には、こういう見方が可能になるのです。これがとても大事なのです。
ところが、ここからが大事な点なのですが、サタンの存在を信じているからこそ、逆に悪を行なうその人が、「サタンそれ自体である」と思いこむ、あるいはそう決めつけてしまう場合があるのです。これは極めて危険なことです。なぜならば、サタンの存在を信じるのは、悪を行なうのが人間ではなく、それを行わせているのはサタンだというところにあるのであって、その人自身がサタンだということではないからです。ここのところを取り違えると、とんでもない誤りを犯すことになりますから、大事なことなのでよく注意してください。実は、このような間違いを犯す人がけっこういるのです。特に、自分に対して意地悪をしたり、危害を加えたりする人がいる場合には、どうしても相手の「人それ自身がサタンそのもの」だと思い込んでしまう傾向があります。現代では、宗教的な争いがあって、お互いに違った宗教を信じている相手が、サタンである、あるいは悪魔である、というふうに思わせようとしたり、あるいは思い込む傾向があります。ブッシュにとって、フセインやアルカイダのテロリストたちは、まさに「悪魔そのもの」に見えるだろうし、逆にフセインから見れば、ブッシュもアメリカ人も「悪魔」に見えるかもしれません。
さて、あなたがおっしゃっているおばあさんのことですが、この場合にはよほど注意して、そのおばあさんの言っていることを聞かなければならないと思います。もしもおばあさんが、自分に意地悪をする「その人自身」が、サタンだと言うのであれば、そのおばあさんは、今私が述べたような誤りを犯しています。しかし、おばあさんが、たとえ相手が自分に意地悪をしていても、実はその意地悪をしている本当の張本人は、相手の人間ではなく、その後ろにいて、相手を操っているサタンなのだということを見抜いているとすれば、これはとてもいいことです。なぜならそのおばあさんは、相手の人自体がサタンであるとも悪魔であるとも思っていないからです。私たちはこのように、人間の背後にあって働く悪の霊を見分けること、そしてその悪に負けないように対処をすることが、他人からの悪に対処する秘訣だと言えます。霊的な人とは、そういう洞察のできる人のことです。これを実際に実行するためには、落ち着きと祈りが大事です。ひょっとしたら、そのおばあさんには財産があるために、ある人たちがそれをねたんで、おばあさんに意地悪をしているのかもしれません。実情をよく見て、判断してみてください。