(3)三位一体の認識と働き
           
■内在的と経綸的三位一体
  三位一体は、独り神の三つの様態あるいは相(ペルソナ)の顕れだとする説は、三つの位格(ペルソナ)の区別を見失うおそれがあるから異端だとされています。
(1)父と御子と聖霊とは、それぞれに異なるペルソナでありながら、愛において交わりを保つがゆえに「一つ」です(ヨハネ10章30節/同15章26節)。
(2)父なる神は、旧約の時代に啓示され、御子は、紀元1世紀の始まりに啓示され、聖霊は、御子の復活以後に啓示されました。このように、三位一体の啓示を歴史的な時代順において見ることを「経綸(けいりん)的三位一体」あるいは「摂理(せつり)的三位一体」(「摂理」の英語は"providence")と呼びます。
(3)摂理的な見方を現在の視点から逆に「観る」と、三ペルソナが同心円を描いて、外円から、父と御子と聖霊として映ります。これは「内在的三位一体」の見方です。しかし、同心円では、「一体」は見えますが、三つの位格の区別が見えません。
(4)三位一体を正三角形で表わすと、三者の区別が見えますので、教会では三位一体を描くのに正三角形を用いることがよくあります。ただし、静止状態の正三角形では、一つになりませんが、これを回転させることで一体化した輪になります。これは、三位一体の神が「時の動き」で働くことを教えてくれます。三位一体の神が、現実に「働く」出来事をパウロは「愛によって<働く>信仰」(ガラテヤ5章6節)と言い表わし、これを「福音の真理(アレーセィア)」と呼びました。 様々に異なる諸宗教を併せ持つ国や民にキリスト教を伝える場合には、三位一体を摂理的に見直すことがとても大事です。三位一体説は、時が生み出す歴史的な時代に対応して、それにふさわしい三位一体観を生み出す働きを具えているからです。
■三位一体のお働き
【三間一和の神】エフェソ人への手紙は、「聖霊を受けたわたしたち」(1章13〜14節)が、「聖霊にあって知恵と啓示が与えられる」(1章17節)ように祈ります。これは、「天上天下のあらゆる家族(パトリア)の源」である(三位一体の)神に従うためです(エフェソ3章14〜15節)。「パトリア」とは、家族、親族、部族(英語"family")を指します。だから、エフェソ人への手紙には、夫と妻とが、その結婚愛を貫くようにとあり(エフェソ5章23〜25節/同31節)、子は両親を敬うようにとあり(エフェソ6章1節)、「親は、子が(親に)言い逆らうほど追い詰めることをせず、適度な訓戒をこめてしつけなさい」(エフェソ6章4節)とあります。三位一体の神の交わりは、その三位格が、それぞれに間(ま)をおきながらも、一つに和(わ)して居る状態のことです。こういう三位一体の神の愛と信頼の交わりを「三間一和」(さんかんいちわ)の「交わり」(コイノニア)と言います。
【個人へ】神は、ナザレのイエス様という「一人の人間」を通じて、その御受難と御復活による聖霊をわたしたち一人一人に、「個人」としてお遣わしくださいます。だから、イエス様は、99匹の羊をおいても、1匹の羊をお探しになるのです(ルカ15章4〜6節)。イエス様は、ご自分の羊を一匹一匹「その名前で呼ぶ善い羊飼い」なのです(ヨハネ10章3節)。
  いわゆる「近代社会」は、16〜17世紀の宗教改革の中で、オランダとイングランドにおいて、「個人の発見」で始まりました。しかし、その「個人の自由」は、個人と個人の間に働く「愛と信頼」に支えられていなければ、「正しい自由」にはなりません。このために、「個人」は、三位一体の神の交わり(communion)に働く「愛と信頼の自由」に与らなければなりません(ヨハネ13章34〜35節/ガラテヤ5章6節)。ところが、21世紀の現在、「個人」は健在で生き残っていますが、その個人相互の「自由」は、イエス様を通じて働く「愛と信頼」を失ってしまったのです。このために、「個人の自由」は、きわめて大きな危険(リスク)を伴うものに変じました。私たちは現在、こういう「自由の迷路」の中をさ迷っています。「個人の自由」は、三位一体の神に与ることから生まれる「愛と信頼」がなければ、「正しい自由」にはならないからです(ヨハネ8章32節)。
【夫婦愛と家庭】キリスト教は、伝統的に、ヨセフとマリアとイエスを「聖家族」として尊敬しています。また、離婚を禁じるイエス様の御言葉も大事な教えとされてきました(マルコ10章11〜12節/マタイ5章31〜32節/ルカ16章18節)。三位一体の神の交わりとエフェソ5章(21〜33節)の結婚愛の秘義とを併せると、結婚愛を基軸とした「親子兄弟姉妹の家庭」を産み出す御霊の交わりの有り様が見えてきます。イエス様にある「結婚愛を活かし貫く」ことこそ、結婚と離婚の自由のほんとうの目的なのです。 だから、<事、離婚に関する限り、> どうか欧米のキリスト教国を見習わないでください! このように見るならば、三位一体の神のお働きとは、「家族を作ること」だと言えましょう。
  個人の個性を活かす善い家庭を作ることは、特に、アジアでの福音の有り様において、大事な意味を持ちます。愛と信頼に基づく「家庭」こそ、善い国(くに)を形成する基盤だからです。このことを明示したのは、16世紀のイギリスの詩人エドモンド・スペンサーです〔スペンサー『祝婚歌』〕。三位一体の神との交わりは、まことの「個人と家庭と国」を生み出す根源の力なのです。
【国家へ】始めに見たように、古来、三~が、国家の成立とその守護神とされてきました。2021年5月現在、香港で、台湾で、ミャンマーで、タイで、ウクライナでもレバノンでも、国家権力の圧力によって個人の自由が奪われた国民が、反乱を起こしています。イエス様は、自分の国は「この世のものではない」と言われましたが(ヨハネ18章36節)、イエス様がこう言われたのは、「イエス様の国」が「いつまでもなくならない」からです。この世の国は、いつか必ず過ぎ去りますが、この世の国が、イエス様を信じる個人が作る家族が形成する国に近づくほど、その国は、「何時までも続く」でしょう。このように、三位一体の神との「交わり」(コミューニオン)は、善い個人と善い家庭と善い国を作る力と働きを秘めていることをぜひ知ってください。
【補遺】このメッセージを語った後で、不思議な喜びが訪れました。御霊のお働きがもたらすパワーが、聞いている人にも伝わったからだと感じました。これを聞いたり読んだりした方が、その後で何も感じなかったら、そのまま忘れてください。しかし、もしあなたに不思議な力が働くのを覚えた時には、このメッセージのことを思いだしてください。
【参考】万象和解の恩寵 / ヘイモネン先生のこと
                三位一体の神様へ